--- title: 単一レプリカのステートフルアプリケーションを実行する content_type: tutorial weight: 20 --- このページでは、PersistentVolumeとDeploymentを使用して、Kubernetesで単一レプリカのステートフルアプリケーションを実行する方法を説明します。アプリケーションはMySQLです。 ## {{% heading "objectives" %}} * 自身の環境のディスクを参照するPersistentVolumeを作成します。 * MySQLのDeploymentを作成します。 * MySQLをDNS名でクラスター内の他のPodに公開します。 ## {{% heading "prerequisites" %}} * {{< include "task-tutorial-prereqs.md" >}} {{< version-check >}} * {{< include "default-storage-class-prereqs.md" >}} ## MySQLをデプロイする Kubernetes Deploymentを作成し、PersistentVolumeClaimを使用して既存のPersistentVolumeに接続することで、ステートフルアプリケーションを実行できます。 たとえば、以下のYAMLファイルはMySQLを実行し、PersistentVolumeClaimを参照するDeploymentを記述しています。 このファイルは/var/lib/mysqlのボリュームマウントを定義してから、20Gのボリュームを要求するPersistentVolumeClaimを作成します。 この要求は、要件を満たす既存のボリューム、または動的プロビジョナーによって満たされます。 注:パスワードはYAMLファイル内に定義されており、これは安全ではありません。安全な解決策については[Kubernetes Secret](/docs/concepts/configuration/secret/)を参照してください 。 {{% codenew file="application/mysql/mysql-deployment.yaml" %}} {{% codenew file="application/mysql/mysql-pv.yaml" %}} 1. YAMLファイルに記述されたPVとPVCをデプロイします。 kubectl create -f https://k8s.io/examples/application/mysql/mysql-pv.yaml 1. YAMLファイルの内容をデプロイします。 kubectl create -f https://k8s.io/examples/application/mysql/mysql-deployment.yaml 1. 作成したDeploymentの情報を表示します。 kubectl describe deployment mysql Name: mysql Namespace: default CreationTimestamp: Tue, 01 Nov 2016 11:18:45 -0700 Labels: app=mysql Annotations: deployment.kubernetes.io/revision=1 Selector: app=mysql Replicas: 1 desired | 1 updated | 1 total | 0 available | 1 unavailable StrategyType: Recreate MinReadySeconds: 0 Pod Template: Labels: app=mysql Containers: mysql: Image: mysql:5.6 Port: 3306/TCP Environment: MYSQL_ROOT_PASSWORD: password Mounts: /var/lib/mysql from mysql-persistent-storage (rw) Volumes: mysql-persistent-storage: Type: PersistentVolumeClaim (a reference to a PersistentVolumeClaim in the same namespace) ClaimName: mysql-pv-claim ReadOnly: false Conditions: Type Status Reason ---- ------ ------ Available False MinimumReplicasUnavailable Progressing True ReplicaSetUpdated OldReplicaSets: NewReplicaSet: mysql-63082529 (1/1 replicas created) Events: FirstSeen LastSeen Count From SubobjectPath Type Reason Message --------- -------- ----- ---- ------------- -------- ------ ------- 33s 33s 1 {deployment-controller } Normal ScalingReplicaSet Scaled up replica set mysql-63082529 to 1 1. Deploymentによって作成されたPodを一覧表示します。 kubectl get pods -l app=mysql NAME READY STATUS RESTARTS AGE mysql-63082529-2z3ki 1/1 Running 0 3m 1. PersistentVolumeClaimを確認します。 kubectl describe pvc mysql-pv-claim Name: mysql-pv-claim Namespace: default StorageClass: Status: Bound Volume: mysql-pv-volume Labels: Annotations: pv.kubernetes.io/bind-completed=yes pv.kubernetes.io/bound-by-controller=yes Capacity: 20Gi Access Modes: RWO Events: ## MySQLインスタンスにアクセスする 前述のYAMLファイルは、クラスター内の他のPodがデータベースにアクセスできるようにするServiceを作成します。 Serviceのオプションで`clusterIP: None`を指定すると、ServiceのDNS名がPodのIPアドレスに直接解決されます。 このオプションは、ServiceのバックエンドのPodが1つのみであり、Podの数を増やす予定がない場合に適しています。 MySQLクライアントを実行してサーバーに接続します。 ``` kubectl run -it --rm --image=mysql:5.6 --restart=Never mysql-client -- mysql -h mysql -ppassword ``` このコマンドは、クラスター内にMySQLクライアントを実行する新しいPodを作成し、Serviceを通じてMySQLサーバーに接続します。 接続できれば、ステートフルなMySQLデータベースが稼働していることが確認できます。 ``` Waiting for pod default/mysql-client-274442439-zyp6i to be running, status is Pending, pod ready: false If you don't see a command prompt, try pressing enter. mysql> ``` ## アップデート イメージまたはDeploymentの他の部分は、`kubectl apply`コマンドを使用して通常どおりに更新できます。 ステートフルアプリケーションに固有のいくつかの注意事項を以下に記載します。 * アプリケーションをスケールしないでください。このセットアップは単一レプリカのアプリケーション専用です。 下層にあるPersistentVolumeは1つのPodにしかマウントできません。 クラスター化されたステートフルアプリケーションについては、[StatefulSetのドキュメント](/ja/docs/concepts/workloads/controllers/statefulset/)を参照してください。 * Deploymentを定義するYAMLファイルでは`strategy: type: Recreate`を使用して下さい。 この設定はKubernetesにローリングアップデートを使用 _しない_ ように指示します。 同時に複数のPodを実行することはできないため、ローリングアップデートは使用できません。 `Recreate`戦略は、更新された設定で新しいPodを作成する前に、最初のPodを停止します。 ## Deploymentの削除 名前を指定してデプロイしたオブジェクトを削除します。 ``` kubectl delete deployment,svc mysql kubectl delete pvc mysql-pv-claim kubectl delete pv mysql-pv-volume ``` PersistentVolumeを手動でプロビジョニングした場合は、PersistentVolumeを手動で削除し、また、下層にあるリソースも解放する必要があります。 動的プロビジョニング機能を使用した場合は、PersistentVolumeClaimを削除すれば、自動的にPersistentVolumeも削除されます。 一部の動的プロビジョナー(EBSやPDなど)は、PersistentVolumeを削除すると同時に下層にあるリソースも解放します。 ## {{% heading "whatsnext" %}} * [Deploymentオブジェクト](/ja/docs/concepts/workloads/controllers/deployment/)についてもっと学ぶ * [アプリケーションのデプロイ](/ja/docs/tasks/run-application/run-stateless-application-deployment/)についてもっと学ぶ * [kubectl runのドキュメント](/docs/reference/generated/kubectl/kubectl-commands/#run) * [Volumes](/docs/concepts/storage/volumes/)と[Persistent Volumes](/docs/concepts/storage/persistent-volumes/)