--- title: "例: Persistent Volumeを使用したWordpressとMySQLをデプロイする" content_type: tutorial weight: 20 card: name: tutorials weight: 40 title: "ステートフルの例: Persistent Volumeを使用したWordpress" --- このチュートリアルでは、WordPressのサイトとMySQLデータベースをMinikubeを使ってデプロイする方法を紹介します。2つのアプリケーションとも、データを保存するためにPersistentVolumeとPersistentVolumeClaimを使用します。 [PersistentVolume](/ja/docs/concepts/storage/persistent-volumes/)(PV)とは、管理者が手動でプロビジョニングを行うか、[StorageClass](/docs/concepts/storage/storage-classes)を使ってKubernetesによって動的にプロビジョニングされた、クラスター内のストレージの一部です。[PersistentVolumeClaim](/ja/docs/concepts/storage/persistent-volumes/#persistentvolumeclaims)(PVC)は、PVによって満たすことができる、ユーザーによるストレージへのリクエストのことです。PersistentVolumeとPersistentVolumeClaimは、Podのライフサイクルからは独立していて、Podの再起動、Podの再スケジューリング、さらにはPodの削除が行われたとしても、その中のデータは削除されずに残ります。 {{< warning >}} シングルインスタンスのWordPressとMySQLのPodを使用しているため、ここで行うデプロイは本番のユースケースには適しません。WordPressを本番環境にデプロイするときは、[WordPress Helm Chart](https://github.com/kubernetes/charts/tree/master/stable/wordpress)を使用することを検討してください。 {{< /warning >}} {{< note >}} このチュートリアルで提供されるファイルは、GAとなっているDeployment APIを使用しているため、Kubernetesバージョン1.9以降のためのものになっています。もしこのチュートリアルを古いバージョンのKubernetesで使いたい場合は、APIのバージョンを適切にアップデートするか、このチュートリアルの古いバージョンを参照してください。 {{< /note >}} ## {{% heading "objectives" %}} * PersistentVolumeClaimとPersistentVolumeを作成する * 以下を含む`kustomization.yaml`を作成する * Secret generator * MySQLリソースの設定 * WordPressリソースの設定 * kustomizationディレクトリを`kubectl apply -k ./`で適用する * クリーンアップする ## {{% heading "prerequisites" %}} {{< include "task-tutorial-prereqs.md" >}} {{< version-check >}} このページで示された例は、`kubectl` 1.14以降で動作します。 以下の設定ファイルをダウンロードします。 1. [mysql-deployment.yaml](/examples/application/wordpress/mysql-deployment.yaml) 1. [wordpress-deployment.yaml](/examples/application/wordpress/wordpress-deployment.yaml) ## PersistentVolumeClaimとPersistentVolumeを作成する MySQLとWordpressはそれぞれ、データを保存するためのPersistentVolumeを必要とします。各PersistentVolumeClaimはデプロイの段階で作成されます。 多くのクラスタ環境では、デフォルトのStorageClassがインストールされています。StorageClassがPersistentVolumeClaim中で指定されていなかった場合、クラスターのデフォルトのStorageClassが代わりに使われます。 PersistentVolumeClaimが作成されるとき、StorageClassの設定に基づいてPersistentVolumeが動的にプロビジョニングされます。 {{< warning >}} ローカルのクラスターでは、デフォルトのStorageClassには`hostPath`プロビジョナーが使われます。`hostPath`ボリュームは開発およびテストにのみ適しています。`hostPath`ボリュームでは、データはPodがスケジュールされたノード上の`/tmp`内に保存されます。そのため、もしPodが死んだり、クラスター上の他のノードにスケジュールされたり、ノードが再起動すると、データは失われます。 {{< /warning >}} {{< note >}} `hostPath`プロビジョナーを使用する必要があるクラスターを立ち上げたい場合は、`--enable-hostpath-provisioner`フラグを `controller-manager` コンポーネントで設定する必要があります。 {{< /note >}} {{< note >}} Google Kubernetes Engine上で動作するKubernetesクラスターを使っている場合は、[このガイド](https://cloud.google.com/kubernetes-engine/docs/tutorials/persistent-disk?hl=ja)に従ってください。 {{< /note >}} ## kustomization.yamlを作成する ### Secret generatorを追加する [Secret](/docs/concepts/configuration/secret/)とは、パスワードやキーのような機密性の高いデータ片を保存するためのオブジェクトです。バージョン1.14からは、`kubectl`がkustomizationファイルを使用したKubernetesオブジェクトの管理をサポートしています。`kustomization.yaml`内のgeneratorによってSecretを作成することができます。 以下のコマンドを実行して、`kustomization.yaml`の中にSecret generatorを追加します。`YOUR_PASSWORD`の部分を使いたいパスワードに置換してください。 ```shell cat <./kustomization.yaml secretGenerator: - name: mysql-pass literals: - password=YOUR_PASSWORD EOF ``` ## MySQLとWordPressのためのリソースの設定を追加する 以下のマニフェストには、シングルインスタンスのMySQLのDeploymentが書かれています。MySQLコンテナはPersistentVolumeを`/var/lib/mysql`にマウントします。`MYSQL_ROOT_PASSWORD`環境変数には、Secretから得られたデータベースのパスワードが設定されます。 {{< codenew file="application/wordpress/mysql-deployment.yaml" >}} 以下のマニフェストには、シングルインスタンスのWordPressのDeploymentが書かれています。WordPressコンテナはPersistentVolumeをウェブサイトのデータファイルのために`/var/www/html`にマウントします。`WORDPRESS_DB_HOST`環境変数に上で定義したMySQLのServiceの名前を設定すると、WordPressはServiceによってデータベースにアクセスします。`WORDPRESS_DB_PASSWORD`環境変数には、kustomizeが生成したSecretから得たデータベースのパスワードが設定されます。 {{< codenew file="application/wordpress/wordpress-deployment.yaml" >}} 1. MySQLのDeploymentの設定ファイルをダウンロードします。 ```shell curl -LO https://k8s.io/examples/application/wordpress/mysql-deployment.yaml ``` 2. WordPressの設定ファイルをダウンロードします。 ```shell curl -LO https://k8s.io/examples/application/wordpress/wordpress-deployment.yaml ``` 3. これらを`kustomization.yaml`ファイルに追加します。 ```shell cat <>./kustomization.yaml resources: - mysql-deployment.yaml - wordpress-deployment.yaml EOF ``` ## 適用と確認 `kustomization.yaml`には、WordPressのサイトとMySQLデータベースのためのすべてのリソースが含まれています。次のコマンドでこのディレクトリを適用できます。 ```shell kubectl apply -k ./ ``` これで、すべてのオブジェクトが存在していることを確認できます。 1. 次のコマンドを実行して、Secretが存在していることを確認します。 ```shell kubectl get secrets ``` 結果は次のようになるはずです。 ```shell NAME TYPE DATA AGE mysql-pass-c57bb4t7mf Opaque 1 9s ``` 1. 次のコマンドを実行して、PersistentVolumeが動的にプロビジョニングされていることを確認します。 ```shell kubectl get pvc ``` {{< note >}} PVがプロビジョニングされてバインドされるまでに、最大で数分かかる場合があります。 {{< /note >}} 結果は次のようになるはずです。 ```shell NAME STATUS VOLUME CAPACITY ACCESS MODES STORAGECLASS AGE mysql-pv-claim Bound pvc-8cbd7b2e-4044-11e9-b2bb-42010a800002 20Gi RWO standard 77s wp-pv-claim Bound pvc-8cd0df54-4044-11e9-b2bb-42010a800002 20Gi RWO standard 77s ``` 3. 次のコマンドを実行して、Podが実行中であることを確認します。 ```shell kubectl get pods ``` {{< note >}} PodのStatusが`Running`の状態になる前に、最大で数分かかる場合があります。 {{< /note >}} 結果は次のようになるはずです。 ``` NAME READY STATUS RESTARTS AGE wordpress-mysql-1894417608-x5dzt 1/1 Running 0 40s ``` 4. 次のコマンドを実行して、Serviceが実行中であることを確認します。 ```shell kubectl get services wordpress ``` 結果は次のようになるはずです。 ``` NAME TYPE CLUSTER-IP EXTERNAL-IP PORT(S) AGE wordpress LoadBalancer 10.0.0.89 80:32406/TCP 4m ``` {{< note >}} MinikubeではServiceを`NodePort`経由でしか公開できません。EXTERNAL-IPは常にpendingのままになります。 {{< /note >}} 5. 次のコマンドを実行して、WordPress ServiceのIPアドレスを取得します。 ```shell minikube service wordpress --url ``` 結果は次のようになるはずです。 ``` http://1.2.3.4:32406 ``` 6. IPアドレスをコピーして、ブラウザーで読み込み、サイトを表示しましょう。 WordPressによりセットアップされた次のスクリーンショットのようなページが表示されるはずです。 ![wordpress-init](https://raw.githubusercontent.com/kubernetes/examples/master/mysql-wordpress-pd/WordPress.png) {{< warning >}} WordPressのインストールをこのページのまま放置してはいけません。もしほかのユーザーがこのページを見つけた場合、その人はインスタンス上にウェブサイトをセットアップして、悪意のあるコンテンツの配信に利用できてしまいます。

ユーザー名とパスワードを決めてWordPressをインストールするか、このインスタンスを削除してください。 {{< /warning >}} ## {{% heading "cleanup" %}} 1. 次のコマンドを実行して、Secret、Deployment、Service、およびPersistentVolumeClaimを削除します。 ```shell kubectl delete -k ./ ``` ## {{% heading "whatsnext" %}} * [イントロスペクションとデバッグ](/docs/tasks/debug-application-cluster/debug-application-introspection/)についてさらに学ぶ * [Job](/docs/concepts/workloads/controllers/job/)についてさらに学ぶ * [Portフォワーディング](/docs/tasks/access-application-cluster/port-forward-access-application-cluster/)についてさらに学ぶ * [コンテナへのシェルを取得する](/ja/docs/tasks/debug-application-cluster/get-shell-running-container/)方法について学ぶ